2021年1月から、従来の大学入試センター試験が大学入試共通テストへと変更になりました。それに伴い、大学入試の指定校推薦や公募制推薦には口頭試問が加わった大学が増えました。
そして、この大学入試改革の流れは早くも中学入試や高校入試でも取り入れられている地域もあります。
今後さらにこの口頭試問が、中学・高校・大学入試の入試科目へ導入がされることが予想されています。今回はこの口頭試問についてのお話です。
大学入試の口頭試問は面接試験とどう違うのか?目的は?
まずは、口頭試問と面接試験の違いからみていきましょう。
一般的に、面接試験というのは、会話をしていくなかで、受験生の人物像や人格をみるものです。
一方、口頭試問は時事問題や一般常識などの質問をきっかけに、受験生が持っている知識や学力を問うものや、
これまで身につけてきた学習内容や知識・技術を社会にどう活用できるのかを具体的に問うものになります。
大学入試の口頭試問は曖昧な質問は少ない
多くの方々が想像する口頭試問の一例として、代表的な「最近何か気になるニュースはありますか?」というものでしょう。
しかし、大学入試の口頭試問の目的からすれば、このような曖昧な質問はされないと予想がつきます。
実際に、私の指導している生徒たちや、その周辺から聞こえてくる、すでに何校か行なわれている口頭試問の内容を総合してみても、ある一定レベルの大学の入試では曖昧な質問は少ない傾向にありました。
大学入試の口頭試問で出題が予想される内容は?
曖昧な質問はされないのであれば、具体的にどんな質問が口頭試問でされるのでしょうか?
大学入試の口頭試問では受験する学部でタイムリーな話題が問われる
例えば、教育学部であれば今後も課題になると想定できるオンライン授業に関するもの、大学入試改革に関すること、学校のいじめなど、具体的な自身の考えや意見を述べるといったことが想定できます。
また、経済学部であれば時節柄拡大している格差社会問題について自身の考えを含めて具体的に意見するということもありえるでしょう。
大学入試の口頭試問で工学部では具体的にどうするか問われた
とある大学の工学部では、物理で習う剛体のモーメントの知識をつかった内容の質問がされました。
工学部になると、日常生活によくありがちなシーンを想定し、そこに物理で学んだ知識をどう活かすかが試されることが多くなるでしょう。
剛体のモーメントはまさに口頭試問では出題されやすい分野だと想定しやすかったので、口頭試問で出題されたと聞いたときもある意味納得でした。
大学入試の口頭試問は答えられないと不合格なのか?
多くの受験生が気になるのは、大学入試の口頭試問は答えられないと不合格になるのかという不安でしょう。
大学入試の口頭試問は「うまく」答えられなくても不合格とは限らない!
多くの口頭試問を控えた受験生から質問を受け、そして口頭試問を受ける受験生全員が思っているであろうこと。
それは「口頭試問が答えられないと不合格になるのか?」という不安。
結論から言ってしまえば、うまく答えられなくても不合格になるとは限りません。
一見すると「ダメでしょ、その回答…」と思ってしまう内容でも、口頭試問で出題される問題の特徴は回答に正解がないということ。
だから、試験監督がどう判断するのか、誰にもわからないのです。
つまり、たとえ回答が拙くても、受験生自身の考えを質問の内容に対して論理的に説明できれば問題はなく、合格となる可能性が高いといえます。
実際に、指導していた受験生の中にも驚くような回答をしてきた生徒もいます。
つい口からでてしまったのか、はたまたうっかりなのか、そんな生徒もしっかり合格して楽しく大学に通っています。
大学入試の口頭試問で全く答えられなくても合格したケースもある
大学入試の口頭試問は「うまく答えられなくても不合格になるとは限りません」となれば、答えることが大前提と思う方が大部分でしょう。
しかし、一部の大学の指定校推薦での口頭試問で全く答えられなかったにも関わらず無事に合格した生徒もいました。
実は指定校推薦というのが実はかな~りグレーな部分となっているのです。
例えば、同じ大学への指定校推薦なのに、高校によって指定校推薦の条件が違うとか、女子校は優遇されやすいとか、○○高校は評定をもってくれるとか、いずれお話できる機会がありましたら、またどこかで。
大学入試の口頭試問は面接試験とどう違うのか?目的と対策方法は?まとめ
大学受験で口頭試問を受ける生達から口頭試問対策に何をしたらいいのか?という質問を多く受けます。そして、私の答えはこちら。
最低限受験する学部や学科に関わることで話題になっていることだけでも自分なりの考えをしっかりまとめておくこと、直前にできることはこのくらいです。
将来大学受験をする中学生や高校生であれば、口頭試問への対策は他にもあります。
- 日頃からさまざまなところにアンテナを高くしておくこと
- ジャンルに関わらず、最低限話題になっていることには自分なりの考えを持っておくこと
- 得た知識や技術は世の中のどんなことに活かせるのか考えるクセをつけること