今回は、入試で化学を選択する受験生にとって、頻出でありながら、苦手とする受験生が多い濃度に焦点のあてます。
入試対策必須の内容です。
例題を使いながら、解説していきます。
質量パーセント濃度とモル濃度の基本
化学の試験で頻出の濃度計算は多くの高校生にとって難題です。
高校化学では、主に「質量パーセント濃度」、「モル濃度」、「質量モル濃度」という3種類の濃度が扱われますが、この中で質量モル濃度は少し異なる考え方をします。
一方、質量パーセント濃度とモル濃度は基本的な考え方が似ています。
これらの濃度計算を理解するには、基本的な考え方を押さえることが重要です。
質量パーセント濃度とモル濃度の計算では、
(濃度)=(溶質の量)÷(溶液の量)
という共通の式が使われますが、使用する単位が異なります。
具体的には、
質量パーセント濃度(%)=(溶質の質量g)÷(溶液の質量g)× 100
モル濃度(mol/L)=(溶質のモル数)÷(溶液の体積L)
と計算します。
つまり、濃度の変換は単位の変換と考えることができます。
【計算例】
0.1 mol/L 希硫酸の質量パーセント濃度の計算
例えば、モル濃度が0.1 mol/Lの希硫酸の質量パーセント濃度を求める場合、
希硫酸のモル質量を98 g/mol、希硫酸の密度を1.84 g/cm³とします。
溶質のモル数 0.1 mol をグラム単位に変換すると、0.1 × 98 = 9.8 g
溶液の体積をグラム単位に変換すると、
1L = 1000 mL = 1000 cm³ なので、
1000 × 1.84 = 1840 g
したがって、質量パーセント濃度は、
(9.8 ÷ 1840)× 100 = 0.53%
と計算されます。
ここで得られた値は小数第三位を四捨五入しています。
このように、質量パーセント濃度からモル濃度への変換も同様の手順で行います。
質量モル濃度について理解しよう
質量モル濃度は、一般的な濃度の表し方とは異なるアプローチを採ります。
この濃度計算では、
(濃度)=(溶質の量)÷(溶媒の量)
として求められます。
この計算方法は、他の濃度計算と異なり、溶媒の質量を用いる点が特徴です。
具体的には、質量モル濃度(mol/kg)は、
(溶質のモル数)÷(溶媒の質量kg)
で計算されます。
溶液中の溶媒量だけをキログラム単位で考慮し、それに溶質のモル数を割ることで求めることができます。
濃度計算のまとめと注意点
特に希薄な水溶液においては、モル濃度と質量モル濃度の値に大きな違いは見られないことが多いですが、使用状況によっては質量モル濃度を選ぶべき時もあります。
モル濃度は溶液の体積を基に計算されるため、温度変化があると体積が変わり、結果として濃度値も変動します。
このため、沸点上昇や凝固点降下など温度変化を伴う現象を扱う際には、温度変化の影響を受けにくい質量モル濃度が適しています。
これらの違いを理解し、状況に応じた適切な濃度計算法を選択することが、化学問題において重要です。