日本における教育制度の一環として位置づけられる「大学校」という独特な教育機関に焦点を当てます。
多くの人には馴染みの薄い大学校ですが、その性質や役割、大学や専門学校との違い、さらに学費や学歴、給与がもらえる?などについて深掘りしていきます。
この記事を通じて、大学校の概要とその特色を理解し、自身の教育やキャリアに関する選択肢を広げる一助となれば幸いです。
大学校と大学との違い
大学校は文部科学省の管理下にないため、「大学」とは異なります。
大学校は教育訓練施設
一般的に「大学校」と称されるのは、省庁が専門技術や知識を習得するために設置した教育訓練施設を指します。
しかし、名称の使用に関する法的規定がないため、多種多様な施設が「大学校」と名乗ることが可能です。
そのため、自動車系専門学校や民族学校などが「大学校」と名乗ることもあります。
これらの機関は、通常の大学や上記の大学校とは異なる性質を持つため、注意が必要です。
大学校の目的は省庁の幹部候補生や技術職員の養成など
日本における教育制度では、「大学」は文部科学省の管理下にありますが、「大学校」は他の省庁が所管する教育機関です。
大学校の主な目的は、所管する省庁の幹部候補生や技術職員の養成、特定の専門職に必要な特殊技能の教育にあります。
このため、その教育カリキュラムは実務に直結する内容が中心となっています。
大学校の学歴は大学卒業と同等も可
学位授与に関しては、大学校は原則として学位を授与しません。
学位が授与されない大学校でも、教育内容や修業年限が大学に近いため、卒業生には大学卒業者と同等の資格が与えられることがあります。
一方で、文部科学省管轄の独立行政法人による認定を受けた場合、大学の学士課程や大学院課程と同等の教育を提供する大学校では学位取得が可能です。
学位を取得できる主な大学校と種類は以下になります。
防衛大学校 | 学士(理学、工学、人文科学、社会科学)修士(理学、工学、安全保障学)博士(理学、工学) |
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防衛医科大学校 | 学士(医学)博士(医学) |
海上保安大学校 | 学士(海上保安) |
国立看護大学校 | 学士(看護学)修士(看護学) |
水産大学校 | 学士(水産学)修士(水産学) |
職業能力開発総合大学校 (総合過程) | 学士(生産技術) |
大学校の学費は免除され給与が支払われるところもある
学費に関しては、各大学校によって異なります。
詳細は各学校の公式サイトやオープンキャンパスで確認することをお勧めします。
参考までに、「航空保安大学校」や「気象大学校」、「海上保安大学校」、「防衛大学校」、「防衛医科大学校」などの場合、入学と同時に全員が国家公務員として扱われ、学費が免除されるだけでなく給料も支給されます。
学校に通いながら給与がもらえるというのは、大学校特有の仕組みですね。
大学校と専門学校との違い
一方、専門学校は教育の課程と取得可能な学位や称号において大きな差があります。
専門学校は2年制の学科が全体の過半数
専門学校では、学科により1年から4年の修業年限が設定されており、特に2年制の学科が全体の過半数を占めています。
専門学校は修業年限によって称号が異なる
修業年限が2年以上の場合は「専門士」の称号が、4年以上であれば「高度専門士」の称号を得ることができます。
「専門士」の称号を取得するための専門学校の基準は以下の通りです:
- 修業年限が2年以上
- 総授業時間が1,700時間以上
- 卒業試験等による認定
「高度専門士」の称号を取得するための専門学校の基準は以下の通りです:
- 修業年限が4年以上
- 総授業時間が3,400時間以上
- 体系的な教育課程の提供
- 卒業試験等による認定
まとめ
大学校は特定の専門職への道を開く独特な教育機関であることが理解いただけたかと思います。
今回は、大学や専門学校との根本的な違い、具体的な学費の構造、卒業後の学歴の評価について詳細に解説しました。
大学校が提供する実践的かつ専門的な教育は、特定分野でのキャリアを目指す人々にとって貴重な選択肢となります。
進路選びの参考にしてみてください。